本牧 気まぐれ歴史散歩 【16】 二体のお不動様と榊神輿
不動明王はお不動さんとも呼ばれ、全国各地で親しまれています。根岸にも白滝不動と呼ばれる堂があります。
水量こそ減りましたが、境内には古くから枯れることなく流れ落ちる滝があり、暑い日も境内を涼やかにしています。地域の人々の信仰もあつく、根岸湾埋立前は境内から海が一望できる絶景の場所としても広く知られていました。
ところで、この堂には荒沢不動尊と白滝不動尊という二体の不動明王が祀られていることは意外と知られていないようです。不動明王は人の煩悩を断ち切る剣とその煩悩を縛りあげるための縄を持ち、優しくするだけでは言うことを聞かない人を叱るため、怒った顔をしています。この二体も同様の姿をしており、関東大震災前には二つの堂が並び、それぞれに明王が祀られていました。震災で二つの堂とも倒壊しましたが、逆に村の民家は一軒も倒壊しなかったことから二体のお不動さんが身代わりになったといわれています。
ここでは3年に一度、榊神輿という祭が行われます。榊の枝で組み上げた大きな神輿を派手な長襦袢を着て町を練り歩き、かつては海へ入って禊をしていました。各地区が輪番で毎年行っていたこの祭も担い手が減少しましたが、今も根岸地区の人々がこの伝統行事を支え、守り伝えています。次回は来年の夏。楽しみにしていてください。
次回は白滝不動尊から根岸森林公園へと登り、旧競馬場へと向かいます。
(文・横浜市八聖殿館長 相澤竜次)
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