中区・西区・南区 コラム
公開日:2020.03.05
本牧 気まぐれ歴史散歩 33
暗渠(あんきょ)となった千代崎川
たくさんの小川と合流しながら、本牧を流れていた千代崎川。現在は暗渠(あんきょ:地下水路のこと)となり、その水面を見ることはできませんが、かつては本牧の田畑を潤していた水源でした。横浜が開港場となったことで、近隣の本牧も急速に都市化され、姿を変えていきましたが、千代崎川はいつも本牧の風景の中で静かに流れ続けていました。
日本が高度経済成長期となり、東京五輪開催に向けて急速な都市整備が進んだ昭和30年代。水洗トイレが普及し始め、生活排水も増加し、地面がアスファルトで覆われたことで雨水も行き場を失い、これまでの下水設備では排水処理ができなくなりました。首都圏のたくさんの小川は蓋がされ、暗渠となり、下水道に転用されていきました。そうして豊かで快適な生活と引き換えに、川がある原風景は姿を消していきました。
しかし、暗渠の上は生活道路となっている場合が多いので、曲がりくねった道や、車が通れないような細い抜け道に、今もかつての川の痕跡を見つけることができます。また、川の水は高いところから低いところへ流れていきますので、暗渠となった路面にも川底の極僅かな傾きを感じることもできます。そんな視点で、千代崎川やその沿岸を歩いてみると、意外なところに、新しい小さな発見があるかもしれません。次回は、千代崎川沿いから、また本牧通りへと戻っていこうと思います。(文・横浜市八聖殿館長 相澤竜次)
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