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公開日:2021.04.15
本牧 気まぐれ歴史散歩 44
『三溪園 文化財の修繕と費用』
三溪園には、原富太郎が私財を投げうって購入し、移築した建造物が11件あります。そのうちの多くは、当時荒廃しており「これは後世に残さねば」と富太郎が移築したものです。そのうちの7件9棟が重要文化財に指定されています。
文化財保護法が無い時代に富太郎の目利きにより移築された建造物が、戦後の研究者や専門家から国宝に次ぐ重要文化財として認められたわけです。重要文化財に指定された建造物が移築されて集まることはありますが、明治・大正期に移築された建造物が一箇所でこれだけ重要文化財に指定されることはなく、富太郎の眼力が秀逸なものであった証拠だと感じます。
現在、三溪園では、それら重要文化財の修繕が進められています。文化財の修繕は、どのような材料や工法なのかを確認し、記録をとりながら、忠実に同じ材料・工法で行わなければなりません。数千年後も同じ状態で保存するため、膨大な手間と時間、費用がかかります。そのおかげで、今回の修繕で新たに判明・発見できたこともたくさんあります。
一方、現制度では、費用は入園料収入などの財源で、三溪園が費用の6分の1を負担しなければならないという課題もあります。公共財産でもある大切な文化財については、もっと公費を投入してでも守っていけるような制度や工夫ができたらと、いつも感じます。
次回は三溪園南門から出て、産業道路を間門方面へ向かいたいと思います。(文・横浜市八聖殿館長 相澤竜次)
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