本牧 気まぐれ歴史散歩 49 『本牧の文豪 山本周五郎』
文豪と称される偉大な作家・山本周五郎。山本は昭和21年(1946年)に本牧在住の編集者を頼って本牧へ移住してきました。山本は、その後自宅から近い間門の崖上にあった旅館・間門園の離れを借りて書斎とし、63歳で亡くなるまでの20年間、本牧で数々の名作を執筆しました。昭和20、30年代に、新聞や雑誌に連載される山本の小説を毎回楽しみにしていた方も多いのではないかと思います。また、たくさんの山本作品が現在も映画やTV・舞台で上演されるので、そちらで馴染みがある方も多いかもしれません。
小学生のときから文才があった山本は、担任から「小説家になれ」と言われたことで小説家を目指したとのことですが、才能が全開したのは本牧在住の編集者のもとで『柳橋物語』の連載を始めてからでした。その後『樅の木は残った』『赤ひげ診療譚』『青べか物語』『日々平安(椿三十郎原作)』『さぶ』など数々の名作を残しました。
山本の代表作には時代小説が多いですが、新聞や雑誌にも多数の随筆を発表しています。亡くなるまでの20年間を本牧で暮らし、散歩を日課としていた山本の随筆には、本牧のことを著したものも多いです。また、昭和20、30年代に執筆されていながら、現在にも通じる問題についても数多く触れており、そのまなざしの鋭さに驚かされます。
次回は丘を下って間門交差点を渡っていきたいと思います。(文・横浜市八聖殿館長 相澤竜次)
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