中区・西区・南区 コラム
公開日:2023.01.05
本牧 気まぐれ歴史散歩 64
『貯木場』
昭和49年まで丸太が浮かんでいた海
関東大震災の復興をきっかけに木材の輸入が伸び始めました。丸太で輸入された木材は横浜港近くの海に浮かべて保管し、筏(いかだ)にして、東京・木場をはじめ首都圏各地へと運ばれました。丸太のまま海に浮かべておくことで、陸では動かせない大きな丸太を1人で動かして筏にすることができます。また、水に浸けておくことで、腐食菌への酸素供給を止め、木の細胞中にある水分も徐々に抜けることから、腐食や割れの防止にもなりました。しかし、保管している木材が増えて船舶航行を妨げるようになったことから、横浜市は昭和8年(1933年)に新山下地区に輸入木材を保管する貯木場を設置しました。
日本が高度経済成長を迎えた昭和30年代から木材の輸入は激増し、国内産の木材が安価な輸入木材におされるようになると、輸入木材は横浜の貯木場から関東一円に供給されるようになりました。次第に新山下の貯木場だけでは木材を保管しきれなくなったことから横浜市は昭和49年(1974年)に金沢区へ貯木場を移転しました。
しかし、原産国で製材した木材を輸入するようになると、昭和52年(1977年)から丸太の輸入量は減少し続け、現在では横浜港には貯木場の機能は不要となりました。新山下の貯木場は埋め立てられ、金沢の貯木場の一部はベイサイドマリーナとなりました。
運河沿いを歩いていくと、トンネルが見えてきました。トンネルへと向かいます。(文・横浜市八聖殿館長 相澤竜次)
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