本牧 気まぐれ歴史散歩 71 『震災復興小学校』 校舎内のスロープ
本牧には、校舎内を1階から3階までスロープで登れる学校が多いです。スロープが設けられた目的はバリアフリー化でも滑り台代わりでもなく、実は、関東大震災で倒壊した学校を復興するときに、避難対策として設けられたものです。
関東大震災では、横浜市内36校の小学校のうち31校が倒壊し、震災後に発生した火災で焼失してしまった学校もありました。横浜市は震災からの復興のシンボルとなるよう、また災害に強い校舎となるよう「震災復興小学校」計画を立てました。具体的には、基礎部分を強化し、当時の最先端建築であった鉄筋コンクリート造を採用しました。そして、より強固とするためにコの字型の校舎とし、校舎の高さは逃げ遅れる人が出ないよう3階までとしました。避難経路となる階段は3箇所設置して、うち1箇所は将棋倒しにならないようスロープにするというものです。そのほか、当時は小学校卒業と同時に働く子どもも多かったことから、手仕事を習うことを目的に現在の理科室や家庭科室などの専門教室も造りました。また、風呂に入れない子どもが利用できるシャワールームまでありました。
形を自在にできる鉄筋コンクリートで半円型の窓を付けたり、玄関や階段に彫刻を施したりして、震災復興小学校は、横浜を代表するシンボル的な建物の1つとなりました。
まだ山手警察署前の交差点にいます。暫くここできょろきょろしようと思います。(文・横浜市八聖殿館長 相澤竜次)
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