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公開日:2023.12.21
本牧 気まぐれ歴史散歩 74
『本牧十二天』
十二天とは、古代インド神話やバラモン教の神が仏教にも取り込まれていった神々のうち、八方の方角と天地を護る十天、太陽と月を神格化した日天・月天を合わせた十二の神のことです。十二天の信仰は平安初期には大陸から日本に伝わったと考えられ、災厄から村や人々を護るために日本各地で十二天を祀る神社が建てられました。
しかし、明治元年(1868年)に明治政府が発令した「神仏分離令」により、仏教由来の神を祀る神社は廃されることとなり、全国の十二天社は祭神を神道由来の神に変更しなくてはならなくなりました。本牧十二天社も本牧神社と名を改め、祭神も十二天から大日霊女命となりました。しかし、本牧の人々は本牧神社を村の鎮守として信仰し続けました。
本牧神社は、第二次世界大戦後には実質的に米海軍の接収地となり、接収解除後には現在地に遷座せざるを得なくなりましたが、神社が遷座したあとの十二天の丘は本牧の人々にとっては代えがたい大切な場所でした。そのため、十二天の丘周辺が開発対象となったときには、永遠に保存していくべき大切な文化財だとして、本牧の人々は開発に反対しました。そしてその願いは、令和4年(2022年)12月に横浜市が本牧十二天緑地を地域史跡として登録したことで、現実のものとなりました。
このあとは、北方消防署のところにある歩道橋を登っていこうと思います。(文・横浜市八聖殿館長 相澤竜次)
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