トップインタビュー 「揚げ物油で航空機が飛ぶ世界へ」 合同会社サファイアスカイエナジー 最高執行責任者COO 西村勇毅
-4月から廃食用油を原料とした国産SAF(持続可能な航空燃料)の供給が開始予定です。
「始めは会社としてではなく、私1人の調べものからスタートした事業でした。そう考えると感無量です」
―SAFの事業を始めたきっかけは。
「海外をメインに石油精製のエンジニアを15年ほどしていました。2018年に帰国した際、日本の石油製品の需要減少を実感。欧州で進んでいたバイオ由来のものから石油製品の代替品を作る技術なら、自分の知識を生かせるのではと調査を始めました。2020年夏から、石油事業を主力とするコスモ石油(株)、バイオディーゼル製造事業を手掛ける(株)レボインターナショナルと3社でSAFの事業化を検討、22年11月に合同会社を設立しました」
―SAFの利点は。
「従来の燃料に比べてCO2の排出量を約80%削減でき、燃料価値にプラスされる環境価値の面で大きな意味を持ちます。事業が先行する欧州や米国は資源循環に対する政策や制度がありますが、まだ日本は十分でない。持続可能にするためには遠回りでも、市民が声を上げて国を動かすことが必要だと感じます」
―家庭や店の廃食用油の提供から、市民が資源循環の促進に直接参加する「Fry to Fly Project」で認知拡大を進めていますね。
「イベントの企画運営や発信も自分たちで行っています。現在、横浜赤レンガの飲食店やイベントで出た廃食用油の回収を行っていますが、それもスマホで偶然、食のイベントをやることを知って何か絡めないかな、と声をかけたことがきっかけ。参加メンバーからの紹介などもあり、開始時は29だった企業や自治体の参加メンバーは現在200を超えています。事業も最終的には人と人とのつながりですね」
―今後の展望は。
「SAFをみんなが何か聞いたことあるな、というレベルにまでもっていきたいです。国は30年までに国内航空会社が使用する航空燃料の10%をSAFに置き換えることを目標にしています。需要の増加もあり、年間170万㎘が必要。それに対して私たちが供給予定の約3万は小さいかもしれませんが、まずは動き出すことが大事。そこから事業参入に必要な資金や制度をあぶり出すことが、後続のSAFの事業者にも良い影響を与えると思っています」
|
|
<PR>
|
|
|
|
|
|
4月27日~4月27日