みなみ懐かし物語【1】 <新連載> 大岡川の魚とギンナン 南歴史と自然を語る会
このコーナーでは、歴史や自然について考える「南歴史と自然を語る会」のメンバーが交代で戦前、戦後直後の南区やその周辺での思い出を語っていきます。
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1943年(昭和18年)に堀ノ内町で生まれた私は、戦争の記憶はありません。ただ、戦後はとにかく物がない時代で、子どものころはいつも食べ物を探していた記憶があります。
小学生のころ、一番の遊び場は大岡川。上げ潮の時は橋の上から飛び込んでいる人もいました。私は川にいるボラを捕まえて食べていました。アオヤギもよく獲れました。殻が薄いので、すぐに割れるから食べやすかったですね。
カモメ、イルカも
今では信じられませんが、一本橋のあたりまでは、カモメやイルカも泳いでいました。それだけ水がきれいだったのでしょう。
たまには八幡橋や新山下まで出かけて、カレイを釣りました。2、3時間竿を出していれば、10枚くらい釣れました。それを家に持って帰りますが、食卓に並んだら、まず食べるのは父。子どものところに回ってくと、半身になっていました。当時は父が食べた後に子どもが食べるのが当然でしたが、今では私より子や孫が先に食べていますね。
秋になると、お寺や神社などでギンナンを集め。イチョウの木から落ちるものは、早朝に大人が取ってしまうので、子どもたちは石を投げて落としていました。水でふやかして果肉を取り除き、練炭火鉢で炒って食べるのが楽しみでした。
今は食べ物に苦労しなくなったこともあり、魚を捕まえたり、ギンナンを集める子どもが少なくったのは寂しいですね。
(S)
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