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南区 コラム

公開日:2015.10.22

日本人と労働【3】
あってはならない「児童労働」
元全日本労働総同盟 国際局長 相原正雄

 国内の労使関係構築に力を注いだ井土ヶ谷下町在住の相原正雄さん(83)による月に1度のコラムです。自身の体験で感じたこと、伝えたいことを掲載します。







 労働問題を扱う国際機関ILOが定めた条約の138号に「最低年齢条約」が、182号に「最悪の形態の児童労働条約」というものがあります。義務教育期間の子どもに労働をさせないことや、18歳未満の子どもによる人身売買や武力紛争への強制労働など、いわゆる「最悪な労働」の禁止と撤廃などが定められ、日本はどちらも批准しています。



 私は国際労働財団の仕事でパキスタンに行ったことがあります。その時、小学生の子どもが学校に行かず、工事現場で重たいレンガを運んでいました。世界では雇う賃金が安いなどの理由で多くの幼い子が働いているのだと痛感しました。



 現代の日本でこのような光景を目にすることはほとんどありませんが、昭和初期に「児童労働」は当たり前のように行われていました。南太田に住んでいた小説家の吉川英治さんは、少年時代に造船会社で命綱を付け、船体に付着した貝殻を落とす作業をしていました。また、彼の妹は「子守奉公」として他家に出され、死に至るまで働かされたと言われています。



 吉川さんはこのような経験を糧に数々の名作を残し、後に大作家となりましたが、児童労働は健康、体力、教育の全てにおいて悪しきことであり、あってはならないことだと思います。

 

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