日本人と労働【5】 世界の労働基準、より強く意識を 元全日本労働総同盟 国際局長 相原正雄
国内の労使関係構築に力を注いだ井土ヶ谷下町在住の相原正雄さん(84)による月に1度のコラムです。自身の体験で感じたこと、伝えたいことを掲載します。
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世界の労働者の労働条件や生活水準の改善を目的とする専門機関ILO(国際労働機関)が1919年に創立し、もうすぐ100年が経とうとしています。
ILOは産業においての社会正義を目指して出発。各国の労働基準を改めて平準化することで経済格差をなくし、世界平和に貢献してきました。その平和を追及する活動が評価され、96年に「ノーベル平和賞」を受賞しています。
ILO誕生当初から加盟する日本は、その活動に対してアメリカに続く世界第2位の分担金(約11%)を拠出しています。ちなみにGDP(国内総生産)で日本を上回る中国は約5%です。世界各国から3千人近くの職員がILOで働いていますが、そのうち日本人は40人ほど。今後、ILOがより多くの日本人を採用することを期待するとともに、「世界の労働基準を考えて平和に貢献したい」と志す日本人が増えることを願っています。
日本は約190あるILO条約のうち50程度しか批准していません。先進国で極めて少なく、86年に制定された「アスベスト条約」を批准したのも2005年のことでした。日本が世界の労働基準への意識を強め、国内法の整備を進めていくことを期待します。
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