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南区 コラム

公開日:2017.04.06

〈連載〉さすらいヨコハマ㉔
桜が咲いて冬でした
大衆文化評論家 指田 文夫

 「桜が咲いて冬でした」――。これは、矢代静一の名戯曲「黒の悲劇」の幕開きのセリフである。最近、桜の開花が河津桜のように早くなっているが、それにしても冬に桜はなく、これはありえないことの比喩である。



 1962年に文学座で上演された矢代の劇は、戦中から戦後の1950年代までの親友2人の変遷を描き、片方の独身男がその親友の娘に恋するなど、時代の変化を表すものだった。「年年歳歳、桜は咲くが、人は同じからず」というわけだ。



 先日、監督の鈴木清順が亡くなられたが、「けんかえれじい」で高校生の高橋英樹が浅野順子と夜桜の下を歩くシーンは日本映画史に残る名シーンだった。ちなみに矢代静一の妻・山本和子は、最初の映画「青い山脈」で杉葉子らと対立する役で出ている美人女優。娘の八代朝子と毬谷友子も、女優として活躍している。



(文中敬称略)

 

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