戻る

南区 コラム

公開日:2017.07.20

〈連載〉さすらいヨコハマ㉖
映画の中の横浜【1】
大衆文化評論家 指田 文夫

 日本の映画で、場面として一番多いのは東京だが、たぶん次は横浜で、100本くらいある。



 最初は、1933年の松竹のサイレント映画、清水宏の『港の日本娘』と小津安二郎の『非常線の女』。大さん橋、山手カトリック教会、日本大通りなど、ハイカラな風景がある。小津作品は田中絹代で、昼はタイピストだが、夜はギャングの情婦。清水作品では、主演の江川宇礼雄、斉藤達雄、井上雪子、逢初夢子のうち、江川と井上はハーフ、斎藤は外地育ちという西欧的な町だった。



 米軍から横浜市に港湾管理が代わったのが1952年。以降、横浜港をバックに多数の映画が作られ、最初の傑作が1957年の蔵原惟繕監督の『俺は待ってるぜ』。石原裕次郎は、北原三枝を救うが、彼は横浜港からブラジルに行ったはずで行方不明の兄を探す。ラストの二谷英明とのアクションも凄いが、伊勢佐木町、野毛の実景が見られるフィルムである。ここで横浜は、閉ざされた日本から自由な外国への唯一の窓口だった。



(文中敬称略)

 

    ピックアップ

    すべて見る

    意見広告・議会報告

    すべて見る

    南区 コラムの新着記事

    南区 コラムの記事を検索

    コラム

    コラム一覧

    求人特集

    • LINE
    • X
    • Facebook
    • youtube
    • RSS