南区版 掲載号:2018年4月5日号
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大岡車屋呉服店 大岡川の桜を着物・帯に 伐採枝活用し、10年続ける

社会

桜で染めた帯と桜の風景を描いた着物の横に立つ吉原慎太郎さん
桜で染めた帯と桜の風景を描いた着物の横に立つ吉原慎太郎さん

 大岡の「車屋呉服店」が大岡川の桜の枝を使って染めた着物や帯を約10年前から作り続けている。南区役所が行う伐採桜の活用事業で入手した木の枝が見事な染物に生まれ変わり、3月に行った過去に販売した商品の展示も好評だった。

 同店店主の吉原清次郎さんは、大岡で生まれ、川のそばにある店舗として南区のシンボルとも言える桜を使った商品を作れないかと考えていた。2008年に南区が始めた倒木の危険性があるソメイヨシノを伐採し、枝や幹を区民に活用してもらう「さくらの記憶」事業に応募。約8kgの枝を入手することができた。

 枝を煮詰め、糸を染める作業は専門的な技術が必要で、探し出した新潟の職人に依頼。桜の枝はチップ状にされ、煮出して糸とウールが染められた。桜は煮詰めても濃い色が出ないため、10回以上の染めを繰り返し、ようやくほんのりとした桜色になるという。

 09年につむぎとウールで作ったショールを販売。1反25万円以上するつむぎにも買い手がついた。

 大量生産が難しいことから、その後は毎年少しずつ商品化し、糸を使った帯や着物のほか、弘明寺商店街中央のさくら橋から見た大岡川の風景を描いた着物も制作。数十万円の商品でも買い手が現れる。

 清次郎さんとともに店に立ち、商品開発を進める息子の慎太郎さんは「大岡川の桜に強い思い入れのある方に買っていただいている」という。3月下旬には過去に販売した着物や帯を購入者から借り受け、展示会を実施。「購入者の中には『春が近付くと、この着物を着たくなる』という人も多い」と話す。

 ショールや桜の木を使ったバッグなど、桜を使った一部の商品は現在も購入可能。慎太郎さんは「今後はスカーフなど、使いやすいものも作っていきたい」と、南区のシンボルを後世に残す取り組みを続けていく。
 

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