市民の文化活動や憩いの場として弘明寺公園そばに設けられた「ねこの手ハウス」=弘明寺町264=(山口百合子代表)が創立から20年を迎えた。利用者による活動発表や無農薬野菜の販売など、地域の憩いの場として、まちづくりにも貢献してきた。20周年記念誌も作成し、思い出を振り返るとともに「家族のような関係を築きたい」としている。
介護保険の対象にならない高齢者など、さまざまな人が元気に生活するための拠り所を作ろうと、自立支援グループ「ねこの手」が2000年に作られた。01年に会員の持ち家を利用し、「ねこの手ハウス」を開所させ、コーヒーの提供を始めたほか、英会話教室、歌声喫茶などのサークル活動も次々に立ち上がった。
建物は2階建て。1階は日替わりメニューを楽しめる食堂、2階は講座などができるスペースとなっている。「誰でも気軽に立ち寄れる」がモットーで、“会員”といった概念がないのが特徴。2年前まで任意で集めていた会費も無くし、助成金だけでの運営に。代表の山口さんは「決して楽ではないけれど、『来たい時に来て、帰りたい時に帰れる自由な場所』というコンセプトを守っていきたい」と話す。
主に運営に携わるスタッフは30人。長く続けられるよう、仕事を分配し、可能な限り各人の負担を減らしているという。
これまで、外国人の鎌倉旅行でガイド役を務めるなど、地域づくりの一翼を担ってきた。また、県内の多くの社会福祉協議会が取り組みを知るために視察に訪れるなど、存在が注目されてきた。
20年の活動をまとめるために作られた記念誌には、開所当時の様子が写真とともに記されている。利用者130人のメッセージを集めたほか、亡くなった利用者への思いを集めたコーナーも掲載。一人ひとりの思い出が詰まった内容になっている。
編集に携わった大島民子さんは「20周年という大きな節目で、今までのつながりを肌で感じるものに仕上がった。まさに永久保存版」と感慨深げ。20年歩んできた記憶を1冊に記録した。
恒例行事で広がる輪
現在は無農薬野菜の販売会や「居酒屋ねこ助」と称した宴会など、年間を通して開く催しが多くある。秋にはミニコンサートなど、文化活動の成果を披露する学芸会もあり、盛り上がりを見せる。販売会を訪れている女性は「催しで何度も顔を合わせるうちに互いの顔を覚え交友関係が広がった」と笑顔で話す。
孤独感じない場所へ
発足時は平均年齢40歳だった同会の利用者も現在は70歳に。食堂では、孫のことを笑顔で話す人を目にする。表立った宣伝や勧誘は考えていないが、若い世代にもねこの手ハウスの魅力を伝えていければという。
会の今後について山口さんは「高齢化が進み、一人暮らしの人が増えた今だからこそ、これからも本当の家族のような関係を築いていければ」と思いを語った。
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