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南区 コラム

公開日:2019.11.28

〈連載〉さすらいヨコハマ41
横浜の競馬場・競輪場
大衆文化評論家 指田 文夫

 自慢ではないが私は賭事を全くしない。しかし、曽祖父は賭事が好きで、大金を持って西へ向かい、大正時代に世界最高と言われた上海競馬場を目指したが、九州で有金を使ってしまい、中国には渡れなかったそうだ。この曽祖父母には子どもができず、夫婦養子が私の祖父母になったので、残念ながら彼と私の血はつながっていない。



 幕末から横浜で競馬が行われていたことは有名で、根岸競馬場の跡地には現在、根岸森林公園と馬の博物館がある。公園は戦後、米軍のゴルフ場になっていたこともあり、大変に気持ちの良い場所である。



 また、1950年代から鶴見に花月園競輪場があり、篠田正浩が監督を務め、岩下志麻主演の『わが恋の旅路』では、父親・三井弘次と会社社長息子の渡辺文雄が競輪場で会うシーンがある。



 競輪は、特別収益事業として毎年数億円の利益が横浜市にも歳入されていた。しかし、21世紀に入ると赤字になり、花月園競輪場は2010年に廃止されてしまった。



 横浜市が山下ふ頭に整備しようとする「IR」(統合型リゾート)だが、将来の財政不足に対応するためとは、その通りだとしても、少々夢のない話だと思う。



(文中敬称略)

 

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