横浜市が二重行政の解消などを目的に県から独立する「特別自治市」を目指す中、林文子市長の諮問機関が3月下旬に区の機能強化など、行政区の抜本的見直しを盛り込んだ答申の中間報告を公表した。特別自治市実現へ足踏み状態の中、市は「当面目指すべき対処策」を示し、事態好転を図ろうとする。
ハードル下げ 現実案
市は県と類似のサービスを行う二重行政の解消や大都市の仕事量に見合った権限、財源を得ることなどを目的に、特別自治市の研究を進める。
2011年に市長の諮問機関として行政学の専門家らによる「大都市自治研究会」を設置。13年には市が目指す姿の方向性を示した「特別自治市大綱」をまとめた。しかし、特別自治市実現には法改正など、高いハードルがあり、国の地方自治制度改革の議論は進展していないのが現状だ。
区の機能強化を
同研究会は19年3月から第3次の議論を開始。6回の会議を経た上でまとめた中間報告では、「区の機能強化、住民自治のあり方は最大の課題」と強調。区長の権限や区予算の拡充を念頭に「区民の意見や市会議員の意見を聴取し、市行政・区行政に反映させることが必要」とし、「制度設計を考えるべき」とした。これらを「行政区の抜本的見直し」と位置付け、「当面目指すべき対処策」とした。市大都市制度推進室は「ハードルを下げた形」と語り、特別自治市実現前の現実的な目標を示した。
市議の意見を行政に反映させることについて、中間報告では、市議が選出区ごとに区行政について意見を述べる「区づくり推進横浜市会議員会議」の実績が議論の参考になるとした。
市は16年に県と事務処理について議論する「調整会議」を設置。これにより、パスポートの発給申請受理事務が19年10月に県から市に一部移譲され、都筑区にパスポートセンターが開設された。市は引き続き、その他の権限移譲を求めており、中間報告には「特別自治市のメリットを提示することが必要」とされた。
秋に研究会の答申が出る見込みで、横浜と異なる形で行政再編を図る「大阪都構想」の是非を問う住民投票がある11月を目標に、市は特別自治市への関心を高める取り組みを進める意向だ。
コロナ対応でも
新型コロナウイルスの感染拡大に対する対応では、国の緊急事態宣言を受け、外出自粛やイベントの開催停止要請などの措置は都道府県の判断で出すことが法律で決まっている。人口だけで見れば、神奈川を除く46都道府県に当てはめると9番目に多い横浜市だが、権限は県が多くを握る。
ある市会議員は「横浜と人口が少ない町や村では同じ県内でもコロナへの対応は全く違う」と話し、自治体の規模に応じた権限を持つことの必要性を訴えていた。
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