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公開日:2020.08.20

「シニア起業は宝の山」
元パン店経営者が出版

  • パン店を営んでいたころの村上さん

 日枝町で米粉を使ったパン店を2013年から今年3月まで営んでいた村上孝博さん(70)が自らの起業体験を中心にした著書「シニア起業は宝の山」を出版した。村上さんは元銀行員で定年後に受けた講座をきっかけに米粉を使ったパン作りを始め、パンの味と同時に起業の経緯やその後の仲間づくりの方法が注目を集めていた。村上さんは「シニア起業は転職のようなもの」と語り、「宝の山」を見つけてほしいとしている。

 村上さんは岐阜県出身。大手銀行で営業や融資を担当。地域金融機関の立て直しなどに取り組んだ後、自動車部品会社に転籍。60歳で定年を迎え、母の介護をしようとしたが、間もなく他界。この時、村上さんは「『自分のことはいいから、あなたのやりたいことをやりなさい』と言われた気がする」という。

 ハローワーク通いの中で手にしたチラシを見て、11年に介護、農業と米粉パン作りが学べる講座に参加。介護現場の苦悩や、農業の担い手の高齢化を目の当たりにし、「食の提供」や「高齢者支援」の必要性を感じた。「『メレンゲ』さえ知らなかった」というが、講座を受けて、パン店の立ち上げを決意。

日枝町で開業

 その後、講座運営団体が持つデイサービス施設を間借りしてパン作りと販売を開始。13年10月に独立して日枝町に「カフェらいさー」をオープンさせた。米粉を使ったパンやシフォンケーキを店頭で販売したほか、起業を通じて知り合った仲間からの誘いで各地のマルシェなどの販売会に積極的に参加。出向いた場所で新たな出会いがあるということを繰り返した。

 店には一人暮らしで話し相手のいない人や学習のために近くの日枝小学校の児童が訪れるなど、村上さんが目指していたコミュニティとしての場になっていった。

 19年秋、知人から新潟・長岡での自給自足を中心にしたまちづくりの計画を持ち掛けられ、今年3月に店を離れ、移住を決めた。現在は長岡の古民家カフェの敷地内にある一室で暮らし、野菜を作り始めながら自給自足生活を送る。「コロナ禍は災害などによるインフラ途絶や食糧難への準備を始めようと言われているように感じる」という。その上で「セカンドライフは人との出会いが宝物」と語り、第二の人生の出発に起業を選択肢に入れてほしいと願う。

 本の価格は1200円(税別)。問い合わせは文芸社【電話】03・5369・3060。

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