〈連載〉さすらいヨコハマ45 100年前にも... 大衆文化評論家 指田 文夫
新型コロナウイルスが今春から蔓延し、秋に入っても収まらない。ウイルスには、ワクチン開発が必要だが、そう簡単ではなく、さらに冬に向かい第二波、三波も危惧されている。
新型ウイルスは、約100年前の1918年前後にも世界中で大流行し、日本でも約39万人が死亡した。これが「スペイン風邪」である。ここでは、劇作家・演出家の島村抱月が1918年11月に急死し、彼を追って恋人の女優・松井須磨子も翌年1月に自殺した。
須磨子と言えば「カチューシャ可愛いや…」のカチューシャの歌「復活・唱歌」である。芸術座の芝居、トルストイ原作の「復活」の劇中歌で、京都で吹き込まれた曲は3万枚の大ヒットとなった。理由は、当時日本では女性が唄を歌う習慣がほとんどなく、歌うのは芸者や邦楽の師匠など「玄人」しかいなかったのに対し、女優とはいえ、普通の女性の唄の新鮮さが、大ヒットの最大の原因だったと私は思う。(文中敬称略)
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