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公開日:2020.11.26

南区
高齢者に電話機貸し出し
詐欺被害抑止へ新対策

  • 無料貸与される電話機(区提供)

 南区役所は高齢者を特殊詐欺被害から守ろうと、「迷惑電話(特殊詐欺)防止機能付き電話機」を半年間無料で貸し出すサービスを11月24日から開始した。対象は南区在住の70歳以上で70台を用意。住民は借用中に電話機のモニターに協力することが条件となる。

警察署と連携

 この事業は区内でオレオレ詐欺などが多く発生していることから、区役所が南警察署と連携して取り組むもの。自動で通話内容を録音する旨の警告音声を流した後、内容を録音する機能を持つ電話機を無料で貸し出す。

 機器の費用には市の予算に加え、特殊詐欺被害防止に効果のある迷惑電話防止機能を有する機器の設置促進を推進する事業が対象となる「神奈川県特殊詐欺被害防止対策事業補助金」を活用。設置した世帯には、迷惑電話の受信状況や内容などを確認するアンケートが行われ、今後の被害防止対策に役立てる意向だ。

 南警察署によると、南区内で今年発生した特殊詐欺の被害件数は11月18日時点で38件と昨年から21件減少しているが、被害額は約1億円で昨年からほぼ横ばいの状況だ。

 その多くは犯人が親族や警察官を名乗って高齢者宅に電話し、現金やキャッシュカードを騙し取る手口。1件で被害金額が1千万円を超える事件も発生している。南署の田中武志署長は「警察も特殊詐欺撲滅を呼び掛ける啓発活動を行っているが、全ての犯罪を未然に防ぐのが難しい」と話し、対応に追われる。

 こうした状況を改善しようと、区役所は警察と協力し、高齢者が被害に遭わないための施策を模索。補助金を活用し、対象者に通話内容を録音する機能を持つ電話機を購入してもらうという考えもあったが「まずは区民の声を今後の啓発に役立てたい」と無料貸与してアンケートに答えてもらう取り組みに決めた。

録音嫌う犯人

 特殊詐欺を未然に防ぐのに効果的といわれているのが留守番電話設定や通話録音ができる機器の導入。犯人は自分の声が録音されると証拠が残るため、これらの機能を嫌がる。区の担当者は「区民の皆さんの声を生かし、詐欺被害を未然に防ぐ一手になれば」と話し、モニターへの参加を呼び掛けている。

 モニター募集は2021年2月26日まで実施。先着順で電話機70台を配り終え次第終了となる。申し込み、問い合わせは南区地域振興課【電話】045・341・1235。

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