小中学生が国際平和に対する思いを発信する「よこはま子ども国際平和スピーチコンテスト」の結果が9月9日に市から発表され、市立日枝小学校6年の御原愛結(みはらみゆ)さんが最優秀の市長賞、市立蒔田中学校3年の中野杏樹(あんじゅ)リナさんが審査委員長賞を受賞した。御原さんは授業で取り組んだエコバッグ作りから環境問題を、中野さんは自らが受けた差別から偏見や人種差別のない社会を目指すことを訴えた。ともに実体験を自らの言葉で表現し、国際平和への思いが評価された。=中面に2人のスピーチ全文を掲載
同コンテストは、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)に基づき、貧困をなくすことや持続可能なまちや地域社会への対応など、国際平和のために児童・生徒が取り組みたいことをスピーチで表現するもの。
大会は今年で25回目。昨年は感染症拡大防止のため中止となったが、今年は審査をビデオで行って実施された。各区から小、中学生が1人ずつ区代表として選出され、8月上旬に動画審査があり、市長賞、教育長賞、審査委員長賞が小、中から2人ずつ選ばれた。
衣服再利用でエコ
小学校の部で最優秀に相当する市長賞を受賞した御原さんは、5年生の時に授業で取り組んだ衣服を再利用したエコバッグ作りから環境問題について訴えた。
授業を通し、国内で年間約100万トンの衣服が捨てられていることを知り、クラスでレジ袋代わりのエコバッグを作ることを決めた。校内から服を集めてズボンの裾を切るなどしてバッグを製作。学校のそばにあるスーパーの協力を得て、バッグのレンタルを行うと、1週間で32個の貸し出しがあった。
この経験から「(バッグを)持っているけれども忘れてしまう人や全く興味がない人がいることが分かった」とスピーチで訴えた。さらに、「活動が世の中に広がり、捨てられていた衣服が減り、プラスチック削減や環境問題の改善に貢献できると思う。衣服の再利用を一緒に始めてみませんか」と結んだ。
表情・発音を研究
御原さんはコンテストのために、「動画サイトなどでほかの人のスピーチを見て、話す時の表情や発音などを研究した」といい、家の鏡の前でも練習を欠かさなかった。同校全体で取り組むSDGsに強い関心があり、「今度は食品ロスについて調べたい」といい、将来は「人の役に立てる仕事がしたい」と夢を描いている。
「偏見・差別なくす」
中野さんは父の母国であるケニアで生まれ、4歳で来日。小学校低学年時、見知らぬ子どもに「肌が黒い奴は自分の国へ帰れ」と心ない言葉とともに暴力を受けた。ケニアに一時帰国した小学4年生の時には、顔を見た子どもが自分の目尻を引っ張り「中国人だ」と揶揄され、アジア人に対する偏見を強く感じた。「本当に自分がいてもいいのかなと思ったこともある」というが、家族や知人の励ましで、今では学校生活を楽しむ。
昨年、米国で起きた白人警察官による黒人への暴行事件に端を発した「ブラックライブズマター運動」の世界的な広がりやコロナ禍でのアジア人への差別的な言動にも心を痛めた。
スピーチでは「人種の違いだけで、悲しい思いをしたらどう感じますか」と力強く訴えた。続けて「偏見をなくすには法律を強化したり、学校で人権について学ぶ機会を増やすことで、命の尊さに関心をもってもらうべき」と心を込めた。
「日本史、特に戦国時代が好き」という中野さんは「将来、国連に関係した仕事に就き、明るい未来があることを子どもに伝えたい」という。
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