統合失調症の当事者から話を聞き、精神障害への理解を深め、人権や自殺対策について考える南区主催の講演会が12月2日、吉野町市民プラザで行われた。お笑いコンビ「松本ハウス」の2人が差別のない社会の実現を訴え、精神障害者へのメッセージを送った。
南区役所が主催する「人権啓発・自殺対策事業講演会」として行われたもの。会場の同プラザに80人、インターネットの動画配信を通して約100人が視聴した。
統合失調症の当事者であるお笑いコンビ「松本ハウス」のハウス加賀谷さんと相方の松本キックさんの2人が講師を務めた。加賀谷さんは中学生のころ、常に自らの悪口を言われているように聞こえる幻聴の症状が出た。心療内科に通いながら、16歳の時に精神疾患のある人が集団で生活するグループホームを紹介され、そこで落ち着きを取り戻すようになった。
その後、好きだったお笑いへの道へ進み、松本さんと出会って1991年に「松本ハウス」を結成する。松本さんは、コンビ結成後に加賀屋さんの症状を知らされたが、それを受け入れて活動。「ボキャブラ天国」などの人気番組に出演するまでになった。
しかし、お笑いライブのコンテストで審査員からの講評で「どうして障害者が舞台に上がっているんだ」と心無い言葉をぶつけられるなど、ストレスを感じることが増え、幻聴や幻覚などの統合失調症が悪化。99年に芸能活動を休止した。
入院生活を送る加賀屋さんに対し、松本さんは「また舞台に立ちたい思いはあったけれど、『早く良くなって』『待っているから』などの言葉はかけなかった」とプレッシャーを与えないようにしたという。症状が改善した加賀屋さんは、10年のブランクを経て、2009年に芸人復帰。現在は症状が落ち着いており、月1度の通院を続けながら、自身の経験を語る講演を続けている。
加賀屋さんは「自殺を考えたこともある」といい、今でも精神障害者への偏見があるとした上で「偏見をどう感じてどう生きるかが大事」と力説。自身が10年のブランクを経て復帰したことを振り返り、「大切なのは焦らないことと諦めないこと、希望を持つこと」と結んだ。
参加者からは「加賀屋さんの体験から精神障害者の葛藤が感じられた」などの感想が聞かれた。
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