唐沢に今年3月まであった女性の緊急一時保護施設「ミカエラ寮」の代表者が施設での35年間やDV被害の実態を語る講演会が12月4日、高根町の神奈川地域労働文化会館で行われた。代表だった宮下慧子さんは、DV被害に関心を持ってほしいと訴えた。
ミカエラ寮は1985年9月に開所。配偶者からの暴力などを理由に、行き場を失くした母子を一時的に保護する役目を担った。施設の性格から、存在が公にされることはなかったが、DV被害者支援の先駆的な活動場所だった。建物は今も残り、社会福祉法人礼拝会が管理する。
国籍や年齢、障害に関わらず、可能な限り、困っている人を受け入れた。また、産前産後のケアも行った。
しかし、行政のDV被害者支援事業の拡大などで、入所者数が減少。共有スペースが多く、新型コロナへの対策が難しいこともあり、惜しまれながらも3月31日に35年の歴史に幕を下ろした。
約5千人を支援
支援者による「ミカエラ寮の35年間を聞く会」の講演会には寮の代表を務めた宮下さんが登壇。精神を病んだDV被害者の外国人や産まれたばかりの子どもを里子に出した母親など、体と心に傷を負った入所者とのエピソードなどを語った。
市の補助金のみが公的な収入だったため、運営が大変だったというが、多くの協力者や団体と協働し、社会的に弱い立場の人の支援に携わった活動実績などを紹介。ミカエラ寮が入所者の新生活を支える一助となり、35年で約5千人をサポートした体験談を話した。
宮下さんは「DV被害などで困っていても、役所に相談へ行かない女性と子どもがいる。そうした人の力になれる活動をしたい」と話し、新たな支援方法を考えている。礼拝会は今後、ミカエラ寮を災害時の避難所としての活用を検討するなど、地域貢献を目的とした運用を目指す。
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