薬物やアルコール依存症者を抱える家族や当事者らの思いを共有する「薬物依存症者と家族フォーラム」が8月28日、南公会堂で行われた。薬物依存症などで苦しんでいる人と家族を支援するNPO法人「横浜ひまわり家族会」(岡田三男理事長)と横浜市障害者社会参加推進センターが主催し、約150人が集まった。
欧州で広がる理念
メインの講演では、精神科医で国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長の松本俊彦さんが依存による被害を少しでも減らす「ハームリダクション(HR)」ついての思いを語った。
HRは欧州で広がっている公衆衛生政策の理念。薬物やアルコール依存による健康被害や社会への弊害を低減させることを意識したもの。
松本さんは、日本では覚せい剤が薬物依存症臨床の中心であることや覚せい剤の再犯率が窃盗や詐欺に比べて高いことなどをデータを踏まえて説明。その上で、処方せんがなくても薬局やドラッグストアで購入できる医薬品を乱用したり、気分を高揚させるために一部の咳止め薬とアルコールを合わせて飲むことによる健康被害が出ていることを報告した。
現在、厚生労働省が導入を検討している大麻の「使用罪」についても触れ、「使用罪が導入されると、依存症者の医療へのアクセスが悪くなったり、未来と能力ある若者を犯罪者とする社会的損失が大きい」と語り、「刑罰を設ける医学的、社会的根拠が不十分」と反対の姿勢を示した。
依存症を「『安心して人に依存できない』病気」と説明し、根底に生きづらさがあるとした。最後に「支援者や当事者、メディアにHRという言葉をもっと使ってもらい、日本で考えを広めていきたい」と語った。
その後は松本さんや薬物依存者らの回復を支援する「横浜ダルク・ケア・センター」=宿町=の関係者などを交えたセッションを行った。
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