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南区 文化

公開日:2022.09.15

築地活字・大松さん
活字鋳造でマイスターに
市が高度な技術認定

  • 鋳造機を操る大松さん

 吉野町の金属活字の鋳造メーカー「株式会社築地活字」(平工希一社長)の活字鋳造職人、大松初行さん(78)=人物風土記で紹介=が2022年度の「横浜マイスター」に選ばれた。

 横浜マイスターは1996年から始まった制度。市が市民の生活・文化に寄与する優れた技能職者を選定し、技術の普及や継承を目指すもの。

 これまでに、木工塗装士や漆器工芸師、印章彫刻士など68人を選定。今年度は大松さんと株式会社サンユウ=港北区=のクロス職人・山崎隆さん(54)が選ばれた。

 大松さんは高校卒業後の1963年、築地活字の前身となる会社に入社。鋳造済みの活字を大量の在庫から拾う「文選」などの業務を約5年間経験した後、鋳造部門に配属された。

 活字鋳造職人として、金属活字と呼ばれる字型の鋳造や鋳造機の整備を行う。約400℃の高温で溶かした鉛を水冷し、繊細な調整を経て金属活字を作る。現在、印刷に使用する字型を鋳造できる職人は全国で4〜5人しかいないという。

 金属活字は、字型を1個ずつ組み合わせて1枚の版にし、それにインクをなじませて印刷する「活版印刷」に用いる。この技法は、主に名刺や財布などに活用される。

 大松さんは技術を残そうと、平工社長らと協力し、活字鋳造を教える体験会などを行っている。「活字鋳造は大切な伝統文化。若者に興味を持ってもらえるような活動に努め、担い手を探していきたい」と前を向く。

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