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南区 経済

公開日:2022.09.29

トップインタビュー
「菓子で人を幸せに」
ありあけ 藤木久三 会長

  • ◆藤木久三(ふじき・ひさかず)1941年生まれ。福井県で育つ。60年に社会人野球チーム「日本コロムビア」へ入り、選手として活躍。レコード会社などを経て、パン・ケーキ店などを経験。94年に菓子製造の株式会社プレシア設立。2000年にありあけ設立。ハーバー復活実行委員会を有志と立ち上げ、01年に復活させた。趣味はゴルフ。

 横浜を代表する銘菓「ハーバー」。1999年に旧有明製菓が倒産した後、商標権を引き継ぎ、有志らと「ハーバー復活実行委員会」を立ち上げ、2001年に銘菓を復活させたのが藤木久三さん(81)。現在も株式会社ありあけの代表取締役会長として活躍。9月14日には今年度の横浜文化賞の受賞も発表された藤木さんに菓子作りへの思いなどを聞いた。

 ――約20年前、どうしてハーバーを復活させようと思ったのか。

 「有明製菓の方から相談され、自分もおみやげとして買っていたハーバーを復活させたいと思った。それまで、共同経営の失敗や息子の交通事故死などがあり、ハーバーとともに自分の人生を復活させたいと考えてのことだった」

 ――復活後の反応は。

 「販売の提案をしても『倒産した会社の商品なんて縁起が悪い』と言われたのは想定外だった。それでも、2001年に復活させ、伊勢佐木モールにあった松坂屋の前で販売した時に、お客様の女性から『私が病気で入院している時に母親からハーバーを食べると治ると言われた。その母が亡くなり、ハーバーも消えてがっかりしていたので復活は嬉しい』と涙ながらに伝えられて、菓子は単なる食品ではなく、人を幸せにするものなのだと実感した」

 ――経営者として大切にしていることは。

 「時代は変わるもので、繁盛は続かない。人より先に気が付き、行動に移せるかが大切。人の味の好みの変化に合わせ、ハーバーもしっとりとしたものに変えた」

 ――大河ドラマに合わせた「侍ハーバー」や横浜DeNAベイスターズとのコラボ商品など、話題になることが多い。

 「横浜を代表する銘菓として、地元愛がある。『時間は命』がモットーでイベントのコラボ商品は一期一会のタイミングが大切だと思っている」

 ――横浜への思いは。

 「海とバラが似合う、観光都市として、人の心も含めて美しい街であってほしい」

 ――最後に一言。

 「野球をやって育ったので、三浦大輔監督のベイスターズが日本一になるのをこの目で見たい」

■このコーナーでは、企業の経営者に理念や業界の動向、地域への思いなどを聞いていきます。

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