洋菓子店「モンテローザ」を運営する株式会社三陽物産=中区長者町、山本博士社長=が中区の山手地区にある西洋館「山手133番館」の復元・修復を終え、このほど、お披露目を行った。
高台の築90年
「山手133番館」は関東大震災後の1930年ごろの建築とされ、45年から53年まで米軍により接収されていたが、その他の期間は借家として利用され複数の家族が住んだ履歴がある。山手本通りから外れた高台の上に立地しており、ワシン坂方面に向けて広い眺望がある。建築時は、眼前に港と海を広く望むことができたと考えられる。
敷地面積は790・24平方メートルで木造2階建ての主屋と使用人室の付属屋、木造平屋建ての車庫の3棟で構成されており、外国人向け住宅として建てられた。市によると、簡素ながら高質な意匠で統一され、一部の特徴からエリスマン邸などを手掛けた建築家アントニン・レーモンドの事務所の関与も示唆されるという。
物件サイトで発見
三陽物産の山本社長は現在の南区庚台に窯場があった「眞葛焼」や横浜の古写真をコレクションするなど、横浜の歴史や文化に愛着を持っている。2年前、不動産サイトの物件の中に同館が売りに出ているのを見つけた。物件を訪れると、古い外観とは異なり、外国人が暮らすために設計された高い天井や大きな窓など、横浜の洋館らしさを感じるものだった。
「残さねば」と購入
「これを残さねば」と思った山本社長は社内の理解を得て、会社として物件を購入。かつては人が住んでいたとはいえ、土台や柱の傷みが激しく、残された資料を手掛かりに、建物を可能な限り復元しながら、補強工事を進めた。壁の傷みなどが激しく、工事費用は想定よりも高くなったというが、山本社長の熱意が工事関係者にも伝わり、1年3カ月で復元工事を終えた。耐震補強も施され、生活ができる空間に生まれ変わった。
山手では西洋館が減少する中、良好な状態の建物だとして、市は昨年3月に同館を歴史的建造物に認定している。
9月30日に行った関係者向けのお披露目会で山本社長は「私たちはこれからも、お菓子を通じて横浜の歴史・文化を継承していきたい」と語り、同館の活用方法を検討していくとしていた。
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