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公開日:2022.10.13

永田南堀木さん
地元の歴史 冊子で伝承
「廣川家」の生活参考に

  • 長者墓の前で冊子の完成を喜ぶ堀木さん

 永田南在住の堀木一男さんらが旧家の生活から永田地域の歴史をひもとく冊子「廣川家の歴史と伝承風俗」を9月23日に発行した。住民の郷土愛の醸成などが目的。300冊を町内会や学校関係者、図書館などに配布し、地元の歴史伝承を目指していく。

 冊子のタイトルは、「廣川家の歴史と伝承習俗」。A5判、72ページ。市内在住の内田友昭さんと、住民のふるさと意識の醸成を目的に活動する「ふるさと創生の会」の堀木さんが編集し、地域に向けて発行した。江戸時代の永田地域が農業で栄えたことなどが記されており、今に至るまでのまちの変化などについて考察している。

 廣川家は永田で400年以上続く旧家で、かつては農業経営者として地域の発展に貢献したと言われている。永田南の廣川政子さんの自宅にある神棚には地元の白幡神社をはじめ、三重県の伊勢神宮の内宮を示す天照皇大神宮などの神札が並んでいることなどから影響力の大きさが分かる。

長者墓が契機

 2019年、堀木さんは永田地域ケアプラザの近くにある「長者墓」が目に留まった。「立派なお墓で誰が入っているか気になった」という。長者墓の情報を集めようと、墓に隣接する旧家の廣川之男さんを訪ねた。そこで廣川さんの友人の内田さんが作った廣川家の歴史についてまとめた資料を見て、その昔、永田が農業で栄えた地域であったことなどを知った。堀木さんは長者墓が誰の墓かは分からなかったが、学んだことを地域に広めたいという思いが芽生えた。ふるさと創生の会を通じた発信を廣川さんに協力してもらおうと考えたが、20年9月、廣川さんが亡くなった。

 こうした中、今年4月、堀木さんは内田さんと廣川さんの妻・政子さんに冊子の作成を提案した。内田さんがこれまでに本やインターネットで地道に調べた知識が生かされて、廣川さんの命日の9月23日に300冊を発行。町内会や学校関係者に配布し、市内の図書館にも納められた。

 堀木さんは「冊子のデータを活用し、プロジェクターを使って地域の歴史を伝える講演会を企画したい」と話し、子どもたちの郷土愛を深める取組を展開していきたいとしている。

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