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公開日:2023.02.02

市民連携 的確対応で救命
路上や駅、2人が助かる

  • 南区役所での感謝状贈呈式に出席した前列左から後藤さん、高橋さん、榎本さん、後列左から今山署長、藤吉さん、安藤さん、岩瀬さん、山崎さん、廣中さん

 駅などで心肺停止状態になった人に対し、その場に居合わせた市民らが連携して救命措置を行い、命が救われたことが南区内で昨年11月に2件あり、1月30日に貢献した人へ南消防署から感謝状が贈られた。消防署は「こうした救命の例が続くのは珍しい」と驚いている。

迅速にAED

 1件目は、昨年11月1日午前10時20分ごろ、別所1丁目の路地での出来事。歩いていた高齢男性が前方に転倒したのを目撃した近くに住む榎本孝司さんがすぐに119番通報し、心臓マッサージ(胸骨圧迫)を開始。通りかかった南消防団員の高橋正明さんが交代し、別の人が近くのクリニックから借りてきたAED(自動体外式除細動器)を使って電気ショックを実施。付近にいた看護師の後藤りささんも加わって心臓マッサージを続け、救急隊に引き継いだ。高齢男性は病院に搬送され、回復し、すでに退院しているという。

消防署員が偶然に

 2件目は11月6日午前7時32分ごろ、京急黄金町駅のホームで70代の女性が倒れそうになったところを通勤途中の藤吉早織さんが声を掛けて抱きかかえた。その様子を出勤途中の南消防署職員の廣中誠音さんが見つけ、女性が心肺停止状態と判断し、心臓マッサージを開始。居合わせた安藤仁さんが改札口にいた駅員の岩瀬英雄さんにAEDを現場に持ってきてもらうことと、119番通報を依頼。駅員の山崎孝之さんがAEDを運び、電気ショックを2回実施。その後に到着した救急隊に引き継いだ。病院に搬送された女性はその後に回復している。

迷わず通報

 別所の事案で最初に対応した榎本さんは「以前も散歩中に倒れた人を見つけて119番通報したことがあった」といい、今回も迷わず対応したという。消防団員の高橋さんは、弘明寺商店街そばでピザ店「ピッツェリア マッサ」を経営し、この日は買い物のために現場付近を訪れていた。「消防団の訓練でも胸骨圧迫を行うが、訓練用の人形と違い、人間の体が柔らかくて驚いた」というが、冷静に対応できたという。後藤さんは、育児休暇中で病院勤務時に心臓マッサージの経験があった。「何かしなきゃと思って自然に体が動いた」と振り返る。

対面で感謝の言葉

 黄金町駅で倒れ、その後に回復した女性は、1月30日の感謝状贈呈式に出席し、藤吉さんらと対面。「命を救っていただき、本当に感謝しています」と伝えた。女性は旅行のために電車に乗ろうとし、エスカレーターを走って上がった後にホームで意識を失った。藤吉さんはエスカレーターを駆け上がる女性を見ており、いち早く状況を理解したという。

 2件とも消防団員や消防職員が携わったこともあって適切な対応が図られたが、南消防署の今山徹署長は「救急要請が多く、すぐに救急隊が現場に到着できない中、これだけ連携がスムーズにいくことは珍しい。皆さんの勇気ある行動で命が救われた」と感謝した。

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