蒔田町にある「勝國寺」の住職で、4年ぶりに花まつりを開催する 實浄(みき) 典英さん 蒔田町在住 61歳
「地域の身近なお寺」に
○…釈迦の誕生日を祝うとともに、地域交流を目的とする「花まつり」を4年ぶりに開催する。「アットホームな雰囲気でおもてなしできれば」といい、コロナ禍で取り止めていた恒例行事の復活を潤滑油に「地域の身近なお寺」を目指す。
○…544年前に建立したとされる寺の住職を祖父と父が務め、自身で23代目。中学から大学まで仏教系の学校に通い、「お寺を継がなくちゃ」という責任感が自然とあった。大学卒業後、鶴見区の寺で1年半修行し、「思いやりを持って相手の話を最後まで聞き、知ったかぶりをしない」ことを心得た。寺を訪れた女性に「自殺すると仏はどこに行くか」と尋ねられ、キリスト教系の学校に通った姉に自殺者の処遇が悪いと教わっていたため思わず「地獄に行くのでは」と答えてしまった。泣き出した女性に慌てて理由を聞くと、娘が自殺したことが判明。「祈れば天国に行ける」と丁寧に諭し、女性は安心して帰ったという。この出来事が僧侶としての原点だとか。
○…42歳で父から住職を引き継ぎ、その4年後から「花まつり」を開催。住民とともに太極拳を楽しむ父の背中を見て育ち、自身も何かしらの形でまちを盛り上げたいと奮起。「仏教を身近に感じてほしい」と始めた花まつりには移動動物園を招待し、子どもに喜ばれる。自身は猫、ウサギ、ヤギを飼っており、ヤギは移動動物園から引き取ったという。
○…蒔田小出身。子どもの時は勝國寺の周辺に多くの商店があったが、行きつけだった駄菓子屋などが閉店し、街並みは大きく様変わり。「買い物かごを持ってお遣いに行ったのが懐かしい」としみじみ振り返る。昔のまちはもうないが、住民とともに「新たな蒔田」を築いていく。
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