六ツ川の県立こども医療センターに通う子どもを持つ家族らが滞在する宿泊施設「リラのいえ」が6月1日に開設15周年を迎えた。運営するNPO法人は施設に面した空き地に家族がくつろげる場を作る記念事業を企画。クラウドファンディング(CF)で7月14日まで、600万円を目標に寄付を募る。
開設から15年
「リラのいえ」の近くにある同センターには、地域の病院では治療が難しいとされる子どもが全国から通い、付き添いの家族にとって滞在先の確保が問題となっていた。
リラのいえを運営する認定NPO法人「スマイルオブキッズ」は、次女が同センターで治療を受けた経験がある田川尚登さんが闘病中の子どもや家族を支援しようと設立。患者家族が滞在できる宿泊施設の設置を実現しようと、神奈川県に呼び掛けた。県と交渉を重ね、同センターから約500m離れた土地、約900坪を無償で貸し付けてくれることになった。
建設費用の約8500万円は、取組に賛同した篤志家からの寄付やチャリティーコンサートで工面し、2008年にリラのいえを開設。宿泊料は1泊大人1人1千円でホテルよりも安く、患者家族の経済的な負担を軽減し、ボランティアスタッフが24時間体制で常駐する。17年に施設の増築工事を実施し、現在は個室が11室。洗濯室や自炊ができるキッチンもあり、これまでに延べ約6万2千人が利用している。
木材で安らぎを
コロナ禍に入り、リラのいえに滞在する家族は個室で待機することを余儀なくされた。スマイルオブキッズが行った利用者アンケートには「施設の外に憩いの場を作ってほしい」という要望が多く、きょうだい児の遊び場にもなる場所がほしいなどの声があった。
施設の15周年記念事業として、継続的に敷地内の環境を整えて新しいシンボルを作るという計画「リラの丘プロジェクト」を始動。その第一弾として、「ウッドデッキスペース」を空き地に作ることにした。約35平方メートルのウッドデッキを木材のフェンスで囲い、西洋風のあずまや「ガゼボ」などを設置。入り口には車いすでも利用しやすいスロープを付けるなどのバリアフリーを意識し、誰もがくつろげる場所にする計画だ。
CFで600万円調達へ
CFで建設費用を募っており、5月27日に行われた15周年記念式典の参加者らに呼び掛けた。同NPOの佐伯トシコさん=人物風土記で紹介=は「子どもたちの笑顔を守るため、ご支援いただきたい」と話す。目標額は600万円。返礼は絵本やバッグが用意される。期限は7月14日まで。詳細はリラのいえ【電話】045・824・6014。
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