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南区 社会

公開日:2023.09.07

朝鮮人虐殺犠牲者を追悼
関東大震災 堀ノ内町・宝生寺に50人

  • 慰霊碑の前で手を合わせる参列者

 関東大震災の直後に広がったデマによって虐殺された朝鮮人を追悼する法要が9月1日、堀ノ内町の宝生寺で行われた。在日本大韓民国民団神奈川県地方本部(民団神奈川)と同寺が中心となって行ったもので、約50人が参列した。

 1923年9月1日の関東大震災の後、社会秩序が混乱する中、「朝鮮人が井戸に毒を投げ入れた」「暴動を起こしている」などのデマが各地で広がった。民間人が竹やりや日本刀で武装して自警団を組織し、朝鮮人や中国人らを殺傷する事件が相次ぎ発生した。

 政府の中央防災会議の専門調査会が2009年にまとめた報告書では、殺傷事件の犠牲者について「正確な数はつかめないが、震災による死者数の1〜数%にあたる」とされている。横浜でも多くの朝鮮人が暮らしており、デマの広がりや自警団の動きについて書かれた民間人の日記なども残されている。

先人作った慰霊の場

 震災後、犠牲者を慰霊しようと、在日朝鮮人救済団体「愛隣園」を主催する実業家の李誠七(イソンチル)氏が奔走。各地から位牌を集め、供養してもらうために、数カ所の寺を回ったが、いずれも断られた。その中で宝生寺に依頼すると快諾され、震災翌年に法要が営まれた。以来、毎年9月1日に法要を続けている。現在、法要を行う民団神奈川が71年に慰霊碑を建てた。

 法要には民団や韓国総領事館、横浜市から関係者が参列し、慰霊碑の前で手を合わせ、犠牲者の冥福を祈った。

 民団神奈川の李順載(イスンジェ)地方団長は「この法要は脈々と受け継がれてきたもの。震災の時に助けてくれた人への感謝の心を忘れず、将来にわたって法要を続けていきたい」と話した。

 別の参列者は、デマによって多くの命が奪われた100年前の出来事と現在の在日外国人を取り巻く環境を重ねた上で「依然として外国人に対するヘイトスピーチがなくならない。100年前の悲しい出来事を教訓とし、未来志向の関係を築きたい」と語った。

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