保土ケ谷区中央東部地区社会福祉協議会(近藤忠行会長)はこのほど、血液型や持病など救命措置に役立つ情報を記入できる用紙と、これを冷蔵庫に保管するカプセルを作成。各家庭に配布し、緊急時への備えを呼びかけている。
今回作成された「救命情報シート」は、持病や服用中の薬、かかりつけ医療機関といった健康に関する情報や、緊急連絡先などを書き込むもの。同時配布されている筒状のカプセルにこの用紙を入れ、各家庭で「冷蔵庫」に保管。本人の意識がない、近くに家族がいないといった際にも、救命士や救助にあたる人が、要救助者の情報を素早く把握できる仕組みになっている。
保管場所に冷蔵庫が指定されているのは、火災や地震などでの家屋倒壊時にも、比較的原型をとどめやすいことが理由。カプセルと一緒に専用のステッカーも用意されており、冷蔵庫の表面に貼ることで、救命士などに救命情報シートの存在を示すことができる。
4000世帯に
取り組みの実施されている中央東部地区は、峰沢町・岡沢町・鎌谷町など約5700世帯で構成。同協議会では、地区内の各自治会加入者を対象とし、4000世帯分のカプセルを用意。既に配布を始めている。
区内でこうした取り組みが行われるのは今回が初めて。県内で既に導入している例はあるが、1人暮らしの高齢者など条件を絞っている地域がほとんどで、家族構成や年齢を問わずに実施する例は珍しいという。
また、配布している用紙は近藤会長らが、保土ケ谷消防署などに協力を呼びかけ、必要な記入事項を相談して作成。ステッカーの印刷やカプセルへの貼り付けも自治会長らが1本1本手作業で準備した。
区役所と区社会福祉協議会では「保土ケ谷ほっとなまちづくり」事業を実施しており、これに沿って各地区社協がそれぞれ独自の活動を進めている。今回の取り組みは、この一環として行われたもの。まちづくりの勉強会に参加した近藤会長がカプセルの存在を知り、地元にも取り入れようと計画を進めてきた。
命つなぐ情報、一目で近隣自治会も注目
同協議会では、消防や警察、区役所にも取り組み内容を伝え、活用を呼びかけた。緊急時は、意識の有無に関わらず、本人や家族がパニックで救命士の質問にうまく答えられない事例も多く、カプセルはこうした場合にも役立つと期待されている。近隣の自治会からは「うちの地区でも、ぜひ取り組みたい」との声が多く寄せられているという。
カプセルは、現在自治会長らが使用方法を説明しながら配布を進めており、6月中には完了予定。服用中の薬や病気の状態などが変わる可能性も考慮し、配布後は一定期間ごとに更新の呼びかけも行っていく。
今月18日、近藤会長からキット一式を受け取った住民の和久本英雄さんは「いつ私や妻が倒れるかわからないし、こういうものがあると安心。さっそく今晩記入します」と話し「すばらしい取り組みですね」と笑顔を見せていた。
カプセルの購入費などは自治会から負担していることもあり、今回は会員を優先的に配布。近藤会長は「自治会の活動は普段あまり目立たず、何をしているか分からないという人も多い。こうした目に見える取り組みをきっかけに、興味を持って頂き、加入促進にも繋がれば」と話していた。
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