神戸町にある保土ケ谷スポーツセンター内の喫茶店「はぁふたいむ」が、9月をもって閉店した。
この店舗は、知的障害者の就労促進などを目的に、横浜市が公共施設などで展開してきた「ふれあいショップ事業」の一環として、2000年9月にオープンしたもの。NPO法人「フレンド」のボランティアメンバーが運営にあたり、知的障害を抱える人をスタッフとして採用。スポーツセンターの利用者への軽食や飲み物の提供、近隣の障害者利用施設への弁当配達業務などを手掛けてきた。
また多くの区民が集う公共施設の特性を活かし、空きスペースのギャラリー開放や各種コンサート等も開催。特に定期的に行ってきた「歌声喫茶」は人気が高く、多くの固定ファンを抱えるなど好評を博してきた。
しかし、ここ最近は裏方を務めてきたボランティアメンバーが全員、高齢化。さらに法改正により障害者が生涯にわたり受け取る事ができた「福祉的就労奨励金」が3年間の限定になった事で、安定した賃金を支払える雇用形態を維持する事が困難となった事などから、苦渋の決断となった。
惜別イベントも
閉店に際し、9月28日に行われた「さよならパーティー」には、開所当初の運営に携わった吉田昌美さん(ほどがや地域活動ホームゆめ理事長)をはじめ、施設にゆかりのある関係者が一堂に集結。店長の大谷満利恵さんが「今後は、また違った形でこの場所に関わっていければ」と挨拶し、12年間にわたり「障害者雇用」という役割を果たしてきた歴史に、幕を下ろした。
今後の運営は?「方針、検討する」と区担当
障害者支援の観点のみならず、様々なイベントなどを通じて多くの区民に親しまれてきた「はぁふたいむ」の閉店。「歌声喫茶の場所を奪わないで」など存続を望む声は多く、今後の運営にも注目が集まっている。
実際、NPO法人「フレンド」が閉店の意向を示したのは今年6月。しかし、法人代表も兼務する大谷店長は「確かに(知的障害者を雇用する)ふれあいショップ事業からの撤退は表明したが、地域の皆さんが集える『場』を運営する役割は続けて担っていきたい」と話す。元々、ボランティアとして財政的に苦しみながら「障害者雇用」を12年間、維持し続けた手腕を評価する関係者は多く、自身も前出の「歌声喫茶」や「ギャラリー」「コンサート」の会場として「区民が気軽に集えるサロン的な場所として発展させていければ」と意欲をみせる。
「継続案」に困惑
一方、この施設を一元的に管理している保土ケ谷区地域協働課では、当初の撤退意向を受け対応策を協議。保土ケ谷スポーツセンターの指定管理者「横浜市体育協会」にも運営を打診していたという。だが9月に入りフレンド側が「ふれあいショップ」としてではなく、「区民サロン」としての運営継続を訴えた事で、担当者は困惑している様子。区はこれまで、市の福祉事業を行う場所として、家賃を徴収しないなどといった「行政財産の目的外使用」を認めてきた。こうした経緯もあり「ふれあいショップ事業を行わないのであれば、次の運営管理者は公平に選ばなければならない」という基本的な立場を強調する。
ベストな方針を模索
民間業者が施設管理者となれば当然、区に家賃収入が入るメリットがある。また運営者の公募には時間を要するため、空き家状態の長期化を回避するためには市体育協会に管理対象の拡大を打診するのも一案。大谷さんらも「区民が集える場の存続が第一」としており、公募などで新たな運営母体が決まる事自体には異論はないという。今後、幾つかの選択肢が考えられるが、区地域協働課では「(どのような決定をするにせよ)少し時間をかけて、ベストな方針を検討していきたい」と話している。
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