中学生硬式野球ポニーリーグの全日本選手権を制した旭峰ベースボールクラブ総監督を務める 金子 元樹さん 今井町在勤 51歳
恩義重んずる豪傑
○…チームを率いて7年目の夏、悲願だった「日本一」の称号を手にした――。中学生硬式野球ポニーリーグの全日本選手権を制した「旭峰ベースボールクラブ」でタクトを振る総監督。チーム関係者いわく「普段は褒めた姿を見たことがない」という「鬼軍曹」だが、全日本タイトル奪取に涙し、褐色に焼けた顔にしわを寄せながら「子どもたちの頑張りに感激した」としみじみと話す。
○…「遊びといえば野球だった」。川崎市で生まれ育った少年は強豪・武相高校に進み3年時には関東大会で荒木大輔投手擁する早稲田実業を破ったチームの主戦として活躍した後、「二度と1年生には戻りたくなかった」と大学ではなくノンプロの道を選んだ。「全盛期」の24歳で結婚し、一男一女を設け、プロを目指したが27歳で社会人野球を引退。社に残る道もあったが、独立の道を模索した。
○…コーヒーサービス業に携わりながら資金を貯め、33歳の時に起業。40歳を前にしたある日、野球少年だった長男が高校進学を前にした一言が忘れられない。「武相で勝負したい」。自分の背中を追おうとしている息子の姿に心が揺れた。「嬉しかった」。その日の出来事は鮮明だ。
○…プロの世界への扉が開くチャンスが2度あった。1度目は高校時代。スカウトが自宅を訪れたが「恩義を大切にしていた人」という父親は「先に話しをくれた所に世話になれ」と頑として首を縦に振らなかった。2度目は24歳の時。都市対抗での活躍が評価され、10球団から声がかかったが、「会社の事情」でドラフト前に全球団に断りを入れている。「挑戦してみたい思いはあった。でも育ててもらった会社に対する恩もある」。父親譲りの「恩義の精神」を貫いた。「プロの選手にはなれなかったけれど、いまは監督業が生業のプロの監督。好きなことを仕事にできる人なんてそうそういない。幸せな人生だよな」。豪快に笑った。
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