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保土ケ谷区 人物風土記

公開日:2022.09.01

設立10周年を迎えた上星川団地の高齢者サロン「ふらっと109」の代表を務める
中村 春美さん
上星川在住 74歳

根底には「恩返し」の思い

 ○…上星川団地2号棟にある集会室には月に一度、コーヒーの香りが立ち込める。この日は高齢者の居場所「サロン・ふらっと109」の開設日。その名には「誰でもふらっと立ち寄れるサロン」という思いが込められている。109は集会室の部屋番号だ。

 ○…30年前に団地に移り住んだ。同世代が多く暮らす団地で共に暮らしてきた住民の多くはシニア世代に。配食サービスなどボランティア活動に汗を流していた10年前、老人会や婦人会など既存の組織に馴染むことができない住民の姿を目にしたことを機に住民ら3人でサロンを設立。この10年の間に一人は他界し、もう一人は療養生活に。住民5人のボランティアと共に高齢者に居場所を提供し続けるその根底にはあるのは「地域への恩返し」の思いだという。

 ○…ミュージック脳トレ、笑いヨガ、リトミック…。「『ふらっと』で楽しんでもらえたら」と常にアンテナを張り、学びを続ける。サロンを中心に置いた生活を続ける中、20年近く続ける趣味がフラダンス。だが、「本当はね、社交ダンスをやりたいの」。学生時代には競技会に出場するほどの腕前で、プロの道に進むチャンスもあったが、「ダンスをやると全てが見えなくなっちゃうから」と夢を封印した。

 ○…7年前、子宮頸がんを患い検査をするとリンパ腫も見つかった。「気持ちが抜けた」が、担当医師の「この病気で死ぬことはない」という言葉で前を向き、1年間の抗がん剤治療を乗り切った。副作用で髪が抜けてもウイッグをかぶりサロンを開設。109号室からコーヒーの香りは途絶えなかった。「元気なうちは続ける。コロナ禍で今は控えているけど、コーヒーを飲みながら、楽しいひと時を。ただそれだけだよね」

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