相鉄線和田町駅前の美化活動に尽力する「タクシー乗場委員会」の委員長を務める 木村 勝義さん 65歳
地道に 実直に 着実に
○…「ここはお客様をお迎えする自分たちのステージ。綺麗にするのは当たり前」。きっぷ良くそう話す。相鉄線和田町駅前のタクシー乗り場に車を付ける運転手仲間で組織する「和田町タクシー乗場委員会」の委員長を務め、美化活動に精を出す。毎朝、始発電車が動き出す前にゴミ袋とトングを手にし、駅前のに姿を現す。たばこの吸い殻に空き缶、総菜の包装容器、落ち葉、多い日には40リットルのごみ袋が5袋になったことも。
○…28歳の時、入社したタクシー会社の先輩社員との出会いが大きな転機となった。「困ったことがあれば何でも言ってこい」。男気に溢れる兄貴分に命を受け、和田町駅前のタクシー乗り場の美化活動がライフワークとなった。「ほうき1本、塵取りひとつ持たないやつが、偉そうに駅に車を付けるな」。師がよく口にしていた言葉だ。
○…高校生の時、父親に呼ばれ「勝義」という名に込めた思いを知らされた。「勝」は「己に勝つ」、「義」は「自分が尊敬できる人を見つけ、その人に忠義を尽くして人生を学べ」という意味が込められている。タクシー会社で出会った兄貴分は「忠義を尽くす」存在となった。「約束は果たしましたよ」。すでに他界した師に胸を張る。
○…「個人タクシー」に憧れ業界入り。合格率2・5%ほどの狭き門を突破し39歳で独立する息子の門出を祝い、父親が親類を集めて宴席を設けた。普段は多くを語らなかった父親の存在はいまもなお大きい。「父は偉大な存在。超えるという気はない。近づきたい存在。父の子で良かった」。まっすぐ前を見据え、淀みなく父への思いを口にする。父の教え通り、人生の師を見つけ、その師に忠義を尽くしてきた人生。その姿は今朝も和田町駅前にある。
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