横浜・鶴見沖縄県人会(金城京一会長)の歩みをまとめた『横浜・鶴見沖縄県人会史―鶴見沖縄県人百年の歩み―』がこのほど同会の編集で出版された。出稼ぎなどのため、大正初期から本格的に鶴見に移住し、差別を受けながらも県人会組織を作り、助け合い生きてきた沖縄の人々の歴史を知ることができる。
『横浜・鶴見沖縄県人会史』は全309ページ。沖縄県人の横浜・鶴見への移住の歴史や県人会結成からの歩み、民謡などの芸能活動、区内で毎年行われている角力大会などを紹介。編集委員を代替わりしながら、約10年かけて発行に至った。
同会が活動史を発行するのは初めて。横浜に住む沖縄県人のルーツをまとめた本もこれまでほとんどなかったという。「先人たちが残してきた財産を後世にも伝えていきたかった」と金城会長は話す。
出稼ぎで定着
県人会史によると、明治30年代ごろ、沖縄から国内外へ渡る移民が現れ始めた。鶴見では、大正初期から昭和初期にかけ、埋め立て工事が進み、大企業の進出が進んでいたことから、出稼ぎ労働者が急増し定住するようになった。
当時の沖縄の産業の中心はサトウキビ生産などの農業。凶作や砂糖価格の暴落などによって、生活難を強いられていた農民らが働き口を求めて移住していた。
以降多くの沖縄県人が定着し、会員同士の親睦や沖縄文化の継承などを目的とした現在の県人会が1953年に発足。その間には就職や銀行での融資を断られるなど、差別を受けることもあった。「県人会発足以前から前身組織を作り、助け合い生きてきた」と金城会長は語る。
現在、県人会の会員数は750世帯。入会者は年々減少し、会員の高齢化も進んでいる。「今年からは青年部を立ち上げた。若い層も取り込みながら、存続させていきたい」と金城会長は話している。
一冊5千円(税抜)。おきつる会館=仲通3の74の14=などで販売している。
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