鶴見区 社会
公開日:2022.06.02
市内在住男性
溺れかけの女性救う
鶴見川で勇気ある行動
会社員の大坊重哲さん(28)=青葉区在住=が5月10日、鶴見川で溺れかけていた20代女性を冷静な判断と行動で救助した。5月24日に鶴見警察署で表彰があった。
かすかな声頼りに
釣りが好きで、鶴見川へよく来るという大坊さん。その日は、深夜に新鶴見橋と末吉橋の間付近で釣りをしていた。
遠くの方から子どものような声が聞こえ、よく耳を澄ますと「助けて、誰か」と聞こえた。釣り用ライトを照らしながら上流へ岸を歩いていくと、肩まで水に浸かった状態の女性を発見した。かなり水を吸っていて体温も低下している様子だったという。
大坊さんはすぐに110番。近くのポールにしがみつきながら女性の手を掴み、落ち着かせるために話しかけ続け、救助を待った。その後、女性は無事に保護された。
「ためらいはなかった」
「怖さはあった」と大坊さんは振り返るが、ためらいは一切なかった。「母から人が困っていたらできる最大限をするよう教わった」。幼少期から自然の中で遊び、父からその魅力と同時に怖さも教わっていたことが冷静な判断につながった。
さらに、「鶴見川が好き。釣りを通じて出会いもできた。何か返したいと思っていた」と川への感謝も続けた。感謝状を手渡した片山真署長は「助けなければ命を落としていたかもしれない。勇気ある行動だった」と謝意を述べた。
夏場にかけ注意を
昨年1年間の市内の水難事故発生件数は56件、そのうち鶴見区内は17件だった。
例年、夏場は水難事故が増えるという。市内唯一の水上消防救助部隊がある鶴見水上消防出張所=大黒ふ頭=の弦巻一男所長は「海や川は見た目より水深が深く流れが急な場所がある」と警戒を促し「溺れた人を見つけた時は、空のペットボトルなど浮力のあるものを投げて捕まらせ、消防へ通報を」と呼びかけた。
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