タウン童話 『カラスの村長さん』 絵・文 バタバタばーば(斎藤分町在住)
カラスが大ぜいで白楽駅の方へ飛んでいきました。
先頭のカラスが大きな声で「カーカー」って鳴いています。あれは、村長さんに違いありません。「えっへん、私はこの村の村長です。名前はクローと申します」。そうです。やっぱりカラス村の村長さんでした。
カラス村には、お寺と小学校と大学があります。毎日にんげんの小学生がランドセルを背負って私の巣の下を通ります。小学生はみんな大きな声でお話をしながら通ります。ケンカしている子もいます。
私は小学生が学校に行く時間に村長の席につきます。村長の席はお寺の境内(けいだい)の一番大きな樫(かし)の木のてっ辺です。そこに私は、村のみんなの安全を守るために1時間くらいとまっています。巣に近づくものがいれば、ただちに出動(しゅつどう)することになっているのです。
ですが、今迄一度も出動していません。つまり、この村は平和だということです。村長としては、この大切な1時間の間にいろいろな仕事をします。カラスの子どもたちには、にんげんはカラスの言葉がわからないから話しかけないようにおしえます。ネコもことばが通じないし、おまけに乱暴モノなのだとおしえています。村のレストランのゴミ置き場で食事をしていると、すごい顔で襲(おそ)ってくるこわいヤツなのだと、しっかり教えます。これも村長の仕事です。
さて、今日はこれから1丁目から6丁目までの責任者(せきにんしゃ)を決める会議を開かなければなりません。この会議(かいぎ)でそれぞれのゴミ置き場レストランの管理をしてもらいます。だから今日は、村のカラスが全部お寺の樫の木に集まります。ここ以外のカラスは一羽もいなくなります。
だから、スズメもムクドリもハトもヤマガラもメジロもシジュウカラも安心してとびまわっています。ゴミおき場の前のおばさんだって、ホッとしています。
「ラーメン屋の前のレストランのお肉は大きいから食べにくい」それから「1丁目と4丁目のレストランは青いアミがかけてあるので、食べられない」などいろいろな情報を集めて、誰にその責任者になってもらうかを決めるのです。
会議中はガヤガヤ、ガーガーと村長を困らせます。にんげんたちが「今日はカラスがやけにウルサイね」といっています。そのはずです。今日は月に1回の会議の日なんですから。 終
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