連載寄稿 イルカ博士の生命感動日記 ㊱視覚で探検する意味
子どもと一緒に自然を探検することは、あなた自身の感受性を呼び起こし磨きをかけます。私たちの多くは、周囲の世界の多くを視覚で認識し理解していますが、目に見ていながら”視ていない”ことが多いのです。例えば、小さな生き物に虫眼鏡を使う方法もありますが、「もし、これを二度と見ることができないとしたら…」と自分自身に問いかけてみることが、見過ごしていた美しさに目を開くひとつの方法です。
御蔵島でイルカとのスイミングを体験した夏の夜は、私の心を強烈に捉えて忘れません。それは、月のない晴れた夜でした――。
私は子どもたちとみんなでカツオドリが遠い海から帰ってくる森に出かけていきました。そこは周りがほとんど海に囲まれていたので、まるで小さな鳥の島にいるようでした。私たちは橋の上に寝転んで、何百万という星が夜空にきらめいているのを見上げていました。遠くの海辺にいるだれかの話し声がひとつ、ふたつと、澄み切った空気を渡ってはこぼれてきました。三宅島の灯りがチカチカと見えます。そのほかには、村人の生活を思わせるものは何もなく、ただ、私たちと無数の星だけでした。空を横切って流れる白いモヤのような天の川、くっきりと見える星座の形、流れ星が次々に大気圏に飛び込んできて燃え尽きました。
たとえ、たった一つの星の名前すら知らなくとも、子どもと一緒に宇宙の果てしない広さの中に心を解き放って漂わせるといった体験を共有し、今見ているものが持つ意味に思いをめぐらし驚嘆することもできるのです。
【日本ウエルネススポーツ大学特任教授・岩重慶一
(問)【メール】iwashige@gmail.com】
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