意見広告・議会報告
市政報告 敬老パスの健全な維持に向けて 横浜市会議員 田中紳一
横浜市では、市内在住の70歳以上の希望者の方に「敬老特別乗車証(敬老パス)」を交付しています。利用者の方につきましては、収入状況等に応じた負担金をお支払いいただいています。
こうした中、令和7年度予算において、▼一定距離内に駅やバス停がない「交通空白地域」等を中心に展開される地域交通への新規適用▼運転免許を返納される75歳以上の方限定で3年間無料という制度の拡充計画が示されています。
膨れ上がる事業費
一方、敬老パスの事業費は年々増加しています。本制度が始まった昭和49年当時に比べ、令和7年度予算では、市税収入は9倍の9459億円。それに対し、本事業費は47倍の約137億3千万円まで膨れ上がっています。事業費の内、約117億円(利用者のご負担金除く)は市民の皆様の税金が原資として充てられ、市民の皆様のご負担も増えています。
さらに、新たな取組を含め、敬老パスの事業費は今後10年間で約10億円増加することが見込まれています。また、昨年の常任委員会では、利用回数の多い上位12%の利用者による利用が、総利用回数の約41%を占めていることが分かりました。中には、年間を通じて5000回超(一日平均約14回の利用に相当)の利用をしている方がいることも報告されています。
こうした極端に偏った利用状況は、事業費の膨張につながります。さらに、敬老パスを利用していない方はもちろん、利用者の方の中でも大きな不公平が生じていると考えます。また、新たに始まる75歳以上の運転免許返納者の方に限定した取組についても、負担金をお支払いされている他の利用者の方に加え、免許返納者でも敬老パスを利用しない方との公平性の点からも疑問を感じざるを得ません。
信頼性・公平性を
このような状況において、先ずは利用実態の把握と課題の整理に取り組み、信頼性・公平性を担保した上で新たな事業展開をするべきだと考えます。こうした観点から、来年度の予算審議の場である本年2月20日の本会議において、敬老パスの制度設計の考え方について議論を行いました。
市長からは、「介護予防効果など敬老パス利用による様々な効果を評価していく。検証結果を踏まえより良い制度となるよう検討を進めていく」旨の答弁がありました。
市長答弁からは、敬老パスを利用していない方はもちろん、利用されている方の中でも不公平が生じている現状についての課題意識は感じられませんでした。しかし、制度の信頼性・公平性の担保は重要な課題です。今後も敬老パス事業を健全に維持していくためにも、この課題から目を逸らすことなく、引き続き議論をして参りたいと考えます。
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