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公開日:2020.03.13

延命地蔵、区内9軒巡る
子の健康願う風習で

  • 巡り地蔵に手を合わせる。世話人を務める目代さん宅=3月2日

 江戸時代から続く風習「巡り地蔵」。今年も馬絹地区をはじめとする数軒の「お宿」と呼ばれる家々を地蔵が巡った。毎年2月から3月に行われている伝統を紡ぐ風習だが、年々お宿は減少傾向にある。

 「巡り地蔵」は毎年2月から3月にかけて、高津区末長の天台宗・増福寺(寺田良則住職)にまつられる延命地蔵尊を、信仰する家々が供物や線香などをあげて泊める風習。1788(天明8)年に、高津区の男性が病気平癒のため地蔵を寺から借りて家に泊めたのがはじまり。古くは関東一円を巡ったともいい、馬絹地区では100年以上前から続いている。

 地蔵は黒塗りの厨子(ずし)に入っており、車で梶ヶ谷(1軒)から東有馬(2軒)、馬絹(6軒)を巡り、今日3月13日に増福寺に戻る予定だ。厨子についている背負子は、以前は巡る軒数が多く、背負って縁側に腰掛けている間に拝んだ名残。平成初期まで厨子の入った大きな長持ちをリヤカーに載せてお宿をまわっていた。

担い手減少

 地蔵は別名「子育て地蔵」とも呼ばれる。子どもの健康や子宝に恵まれるよう願掛けし地蔵に掛けてある涎掛けをもらい、代わりに新しい涎掛けを奉納する習わしが今も残る。かつては子宝に恵まれない家が人づてに噂を聞き、「お宿」は増えていったが、今は共働き家庭の増加や近所づきあいの希薄化などで減少の一途をたどる。

 3月2日の「お宿」となった、馬絹地区の世話人を務める目代鉄男さん(68)=関連記事に人物風土記=は「曾祖父のころから代々お宿だったと聞いている。年々お宿が減っているが、昔から信仰心深く伝わってきたものを、今後も続けていきたい」と話した。

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