五所塚在住の砂田紘子さん(82)が、五所塚老人会の会報「がっちり長生会」に連載していた、地域の人の戦争体験記「思いで」をまとめた冊子がこのほど完成。会員に配布されたほか、一部は同会ウェブサイトで閲覧できる。砂田さんは「二度と戦争を繰り返さないように」と訴え、今後は全国での取材に意欲を燃やしている。
文章を書くことが好きだった砂田さんは、シニアの視点で市内の活動やイベントを取材する「かわさきシニア応援サイト」のリポーターとして活動。戦争に関する取材をした際に、当時の記憶を語れる人が少なくなっていることに気付いた。五所塚は戦後、良い職を求めて全国から人が集まった地域のため、既出の市内の話だけでなく、色々な話が聞けると思ったことがきっかけ。「昭和20年より前に生まれた人は、当時の記憶があるはず」と、20人以上に話を聞き、記事にまとめた。当初は断られて食い下がることもあった。時間が経ちウクライナ情勢をきっかけに話をし始める人もいたという。
市内7校で美術教員として勤めた砂田さん。「カットで目を引き、記事を見てもらえるように」と、川崎市美術展最優秀賞の腕を生かし、挿絵も描いた。「思いで」は、制作に携わっていた会報に今年2月まで掲載され、回覧板で回され町内で好評だったことから、同会で冊子にまとめ、会員に配布した。冊子はA4サイズ28ページ。内容は同会ウェブサイトでも閲覧することができる。
疎開経験のある砂田さんは「戦争は二度と経験したくないし、させたくない。悲劇を再び起こさないように」と思いを語った。
「今後は全国へ」
町内での取材が一段落したことで、砂田さんは離れていたシニアリポーターに再登録。何をするにも徹底的に突き詰め「馬鹿の壁を超えて」がモットーの砂田さん。「今度は、町内に限らず色んな人に戦争の記憶を聞いて残していきたい」と展望を語り、趣味の旅行の際には、取材を優先する。「広島や長崎、激戦地などで生きた人の話がまだ聞けていない」と意欲を見せる。
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