宮前区 人物風土記
公開日:2022.09.16
アンプティサッカー日本代表に選出され、トルコW杯に同行する
石井 賢さん
南平台在住 15歳
挑戦しなきゃ始まらない
○…四肢切断者による競技アンプティサッカー。逆境をものともせず、代表入りを夢見てボールを追いかけてきた。この夏、日の丸が輝く日本代表のユニフォームに袖を通した。1カ月足らずの年齢制限でワールドカップには出場できないが、協会からは「覚醒したかのように伸びていて、間違いなく4年後の代表の主力選手となる」と評価され、強化合宿の参加と、トルコへの同行が決まった。「世界の技を盗みたい」
○…小学校1年生のときに事故にあった。「気が付いたら病院のベッドに寝ていた」。左足を切断したが悲観することは無く、車いすや松葉杖にもすぐに慣れた。ふと、学校に置いてあったアンプティサッカーのチラシが目に留まり、市内で行われた日本選手権を見に行き「めっちゃカッコいい」と魅了された。直後にあった体験会に参加。クラスメイトに「賢ならできるよ」と背中を押されたこともあり、近隣の強豪クラブに入団した。
○…文化祭ではバルーンアートを作った。「打ち上げは友人らと焼き肉を食べに行った」とにこり。放課後はボウリング場や映画館に繰り出す。「仲間たちは以前も今も足のことを特別気にしないから、自分も気にしたことがない」。日の丸を背負えど、普段は目黒まで通う普通の高校生だ。
○…「将来は困っている人を助けたい」と、チームの主将と同じ薬剤師を目指す。憧れの選手はチームと代表の10番だ。小さな頃から大人たちに揉まれ、経験値は人一倍。自分のことだけでなく、「アンプティをもっと有名にしたい」と競技全体を考える。大事にしているのは母の教え「挑戦しなきゃ始まらない」。全力でやってから考えれば良い。未来の10番が、前のめりに世界へ駆け出す。
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