宮前区 人物風土記
公開日：2022.09.30
デイサービスの代表取締役で、介護予備軍に向けた講演会を開く
吉川（きっかわ） 寛子さん
平在勤 58歳
寄り添う気持ち大切に
○…いくらやっても「もっとできることがあったのでは」と後悔することが多いという介護。働き盛りに、親だけでなく兄の介護も経験した。「この上なく喜んでもらえたんじゃないかな」。納得のいく看取りをしたからこそ、伝えたいことがたくさんある。
○…杉並区生まれ。小中一貫の国立学校に通い、外で遊んだ記憶はない。高校から私立に進学。教育熱心な親への反発から「遊び仲間といかに外出するかを考えていた」。短大卒業後、23歳で結婚し出産したが、すぐに別居。シングルマザーとして生きる覚悟を決めた。それからというもの、身を粉にして働き、営業職では表彰されるほどに活躍。「すべての判断基準」と断言する娘は、多感な時期こそ反発もあったが、イベント時には手伝いに訪れ、コンサートも一緒に行くほど仲が良い。
○…父が認知症となり、兄はがんのステージ４。全てを投げ打って介護に専念。入れ替わり立ち替わり多くの友人に見守られながら、兄は56歳の若さで他界。葬儀の長蛇の列を目に「幸せ者め」と胸の中で語りかけた。兄の友人らは、尽力してきた彼女を今も可愛がってくれる。「たくさんのつながりを遺してくれた」。みんなで泣き笑いながら見送った当時を思い出す。
○…今年１月、独立してデイサービスを開業した。施設には、エステやネイルサロンも併設。「『行きたい』、と思ってもらえるような自慢できるデイサービスにしたい」。早速に根を張り、地域活動をする人とのつながりも。多団体とのコラボイベントも開催するなど活躍を期待させる。「介護の業界をもっと良くしたい」。利用者がもっと使いやすく、ビジネスライクでなく、寄り添ったものに。
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