子どもから高齢者まで全ての世代が支え合う仕組み「地域包括ケアシステム」の推進を掲げ、川崎市は高津区をはじめ市内7区の保健福祉センターを再編し、4月1日から部署内に「地域みまもり支援センター」を設けた。保健師ら専門職による個別支援を強化する。同システムを推進するためのキックオフ会議が4月4日、中原区役所で開かれた。
地域包括ケアシステムは、全ての住民が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、「自助・互助」を促し「共助・公助」に取り組む仕組み。医療や介護、福祉、生活支援など必要なサービスを必要な人に提供していく体制づくりを目指す。
この仕組みは国の方針として、「団塊の世代」が75歳以上になる2025年をめどに、全国の自治体が取り組んでいる。
川崎市では同システムのスタートにあたり、意識共有などを目的にした会議を今月4日、中原区役所で開いた。菊地義雄副市長が座長を務め、各区長、区職員ら約250人が参加した。
会議の冒頭の挨拶で菊地副市長は「1年ちょっとシステムの構築に向けて取り組んできた。これが出発点。全国の自治体に先駆けて取り組まなければならない」と述べた。また「やったことが1年後の統計に出てくる。孤独死、自殺、児童虐待、不登校など。その一方で人に頼られ、必要とされ、喜ばれ、感謝され愛される仕事。責任も大きいが充実感のある仕事。ぜひお願いします」と職員に呼びかけた。
分野ごとに窓口
地域みまもり支援センター内には、▽保健師と社会福祉職などの専門職が関係部署や地域の関係機関、団体などと連携しながら個別支援の強化などに取り組む「地域支援担当」▽地域の福祉団体などと連携し、各区の実情を踏まえたシステムの構築に向けた企画・調整、区地域福祉計画の策定、推進などを行う「地域ケア推進担当」▽保育所・学校と地域との連携により、支援が必要な家庭や子どもに関する情報共有や対応の強化に取り組む「保育所等・地域連携」「学校・地域連携」――が設置されている。
「地域支援担当」は母子健康手帳や乳幼児健診、子ども・子育て相談、健康づくり、介護予防など、「地域ケア推進担当」は民生委員児童委員、保護司会などの担当窓口も担う。
市地域包括ケア推進室は「各分野の部署を『地域みまもり支援センター』に集約し、連携を深めながらさまざまな課題に取り組んでいく」としている。
担当地区に職員配置
高津区の地域支援担当では区を4地区に分け、担当の保健師を3〜4人ずつ配置。各担当が地域に出向き、区民との関係づくりを進めていく。
キックオフ会議で高津区の山田祥司区長は、これまでの高津区の取り組みを報告。昨年12月にプロジェクトを立ち上げ、高津区の取り組みの方向を「繋がり、支え合いを通し、安心して暮らし続けられる高津区をめざす」と掲げ活動してきたと説明した。
高津区の自主的な活動として、区役所内に高津区の大きなマップを掲出し、地域で活動する団体をポストイットで張り出して地区の活動の「見える化」を進めている。
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