高津区版 掲載号:2018年7月6日号
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連第一〇五二回「1910年代の時代状況」 高津物語

 明治四〇(一九〇七)年の多摩川大洪水ほど高津町に大きな衝撃を与えた洪水はなかったと言える。この洪水を契機として、多摩川沿岸の東京府各町村長地主総代再三三名と神奈川県各町村長地主総代井田文三ほか二三名が洪水頻発のため多摩川河身改修請願を東京府知事と神奈川県知事に行った。多摩川が決壊する度に多くは右岸(神奈川県側)の堤防を壊し、その都度土盛りしても自然に沈下して左岸(東京側)より低くなっていた。大正二年、地元選出の中村瀬左衛門、池上幸操両議員は、共同して多摩川築堤建議を県議会に提出し可決された。翌大正三年一月、東京府との築堤交渉に入ったが、東京府はこの提案を無謀にも拒否した。内閣省に裁定を依頼したが、「水利に関する争いは旧慣に従うべし」との慣例を盾に、神奈川県側の申出を拒否した。現在、低い堤防の箇所に、新たに土を盛れば、被害を対岸の東京府側に及ぼす恐れがあるというのが、旧慣に反する見解(『随想玉萌雑記』)。すでに東京側には築堤が完成して、洪水の被害の恐れも東京府が異議申し立てもない。こうして多摩川土堤の改修工事が始まるのが、大正八年のことであるが、明治四三年の多摩川大洪水が襲い、六郷橋が流出する。この洪水で多摩川河口の東芝、田島村地先の海岸付近に日本鋼管が工場選定視察。翌年、川崎進出する。高津地区でも、玉川電車の溝口乗り入れと玉川電車KKの津田山再開発が開始され、東京オリンピック選手村候補地となる等近代化の波は音を立て近づいてきた。一平が岡本かの子に結婚を申し込み、翌年、岡本太郎が生まれ高津の近代化が始まる。

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