高津区版 掲載号:2018年9月7日号 エリアトップへ

連第一〇六〇回「半天」 高津物語

掲載号:2018年9月7日号

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 大山街道溝口は古い。古くからある各店舗は、いろいろと工夫をこらして、店の宣伝に努めたが、全く忘れられた物に半天がある。半天は正式に半纏と書き羽織に似て襟の折返しもない簡単な衣服で、作業用として江戸時代から民間で使用された。

 防寒用として、ねんねこ半天、綿入れ半天、袖なし亀の子半天があった。半天は「上の紺屋」が請け負い、染色は紺、又は黒が一般的で祭りの印半纏や火消しの組半天は江戸の庶民文化を伝え、親しまれている。私の愛読雑誌『江戸っ子』創刊号には「革羽織」の写真までが載っている。『半天物語』は溝口入屋建設、二子大亀工務店、宇奈根河崎組、溝口岩崎酒店、溝口島屋家具店、溝口鹿島や材木店、お茶の田中屋、大和屋菓子店の印半天の写真が並び、庶民の文化を伝えているが、辛うじて現存している半天を高津区民祭実行委員会が展示した現物の展示会があった。企画されたのは上田恒三氏で、大山街道各商店の半天が、会場一杯に陳列されていて見事だった。上田さんは「やや邪魔者扱いされている古い半天が庶民の生活文化を伝える貴重な文化財であることを多くの人々に知って頂く為にも、記録を残す必要がある」と多くの人に勧められ、筆をとりましたと解説を記していて、矢倉沢住還や溝口・二子宿の歴史と文化、江戸文字の変遷を説明し、無名の職人たちが創造した粋で、いなせな半天の持つ芸術性や文化性と、この半天を着て家業に励み現在の高津造りに汗を流した人々の姿を知っていただきたいと思いつきました」と動機を記した。大山街道溝口・二子宿の宿場町の庶民文化を伝える半天は、江戸文化を今日に伝える貴重な文化資源だと思います。

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