不定期連載コラム 違っているから、おもしろい! 第3回 障がいを抱える女優さんとの出会い
私たち「多文化読み聞かせ隊」の大切な活動のひとつに、障がいのある方達との活動があります。一緒にお芝居をしたり、踊ったり歌ったり、講師を招いて一緒にワークショップに参加したりしています。
数年前、ひとりの女優さんとの出逢いがありました。その方は、東野醒子さんというご自身の劇団を仲間と立ち上げた35年前には思いもよらなかった「障がい」を今、お持ちの女優さんです。網膜色素変性症という進行性難病の視覚障害をもちながら、障害者職業生活相談員の資格を持ってお仕事をされ、今でも現役の役者さんを続けていらっしゃいます。彼女の言葉から、私は「障がい」の意味について目から鱗の経験をしました。
「私たちは、障がいを持つ人、という言い方はしません。障がいは、彼らが"持って"いるものではない。彼らと社会の間、つまり私たちとの間に障がいがあるからです。だから、障がいのある方達という言い方はしますが、障がいを持っている人というのは、違うんです」その言葉にハッとさせられました。「障がい」という壁を作っているのは、社会のほうであって、彼らではない。そういう見方ができたら、自分の行動も障がい者の方達へのまなざしもおのずと違ってきますね。
「理解できない」と決めつけないで
外国の方と話しができないのは、共通の言葉・言語を持たないから。耳の聞こえない方と話すことができないのは、私がそのすべ、例えば手話ができないから。自閉症の方達とコミュニケーションが難しいのは、彼らの世界を頭から「理解できない」と決めつけているから。じゃあ、どうしたら彼らと心が通じるのか、いろいろな本を読んだり、ネットで調べたりしましたが、手っ取り早いのは、障がいのある方達と「友だち」になって、一緒に笑ったり、困ったことを解決する方法を一緒に考えたりすることでした。
そしてその延長上に、一緒に「お芝居を作ること」があります。初めて彼らとお芝居に取り組んだのも、東野さんとの出会いがあったからでした。それ以来多文化読み聞かせ隊は、毎月2回障がい者のある若者たちとのワークショップを開催し、パントマイムやダンスや歌を共に楽しんでいます。幼馴染でもある彼らは、時々けんかもするし、でも少しでも調子が悪そうな友達を心から心配もするし、何にでも一所懸命な彼らからは学ぶことが多いのです。今は、来年開催予定の公演に向けて、お芝居の練習に余念がありません。
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4月19日